多くの方にとって、ビジネスを前進させる上での「風通しの良い職場」の重要性については、異論はないと思います。元マサチューセッツ工科大学教授のダニエル・キム氏が提唱した有名な「成功の循環モデル」においては、組織の成長へのプラスのスパイラルの起点になるのが、「関係の質」であるとされています。この「関係の質」の良い状態の職場が、「風通しの良い職場」です。企業の業績向上のためには、まず風通しの良い職場づくりから取り組むことが大切です。

「風通しの良い職場」をもう少し具体的に表現すると、メンバー相互の信頼関係が構築され、適切なコミュニケーションがとられ、意思疎通と情報共有がしっかりできている職場です。お互いを無視したり、牽制し合ったりせず、豊かなコミュニケーションによって相互理解を促進し、信頼関係が構築されている状況です。風通しの良い職場には、笑顔が多く見られ、イキイキとした活力があふれています。一人一人のモチベーションが高く、主体性を発揮し、高いチーム力を発揮しています。

では、この風通しの良い職場を作るには、どうすれば良いでしょうか。

当社では、過去に東京と大阪で、延べ8回に渡って、「風通しの良い職場づくり勉強会」を開催しました。様々な業種の方々と、風通しの良い職場づくりについて、それぞれの職場の現状や体験を共有しながら、深い対話と考察を行ってきました。その勉強会の中で、「風通しの良い職場」とは、どのような状態かを話し合った結果を少しご紹介します。

＜風通しの良い職場とは＞

• オープンでコミュニケーションが良い（悪いことも共有。何でも言える）
• 互いに関心を持っている
• それぞれの立場や役割を理解している
• 信頼関係がある
• 居場所がそこにある
• ベクトルを共有している
• 連携し、協力し合える（フォローし合える）
• 楽しみがある
• 余裕がある
• 成長できる

いかがでしょうか。「なるほど」と思うものや意外なものもあるかも知れません。しかし、多くの方が風通しの良い職場に、大きな可能性が感じられたと思います。昨今の人手不足と若手社員の早期離職の問題の解決策としても、風通しの良い職場づくりが大切だと考えられます。

ではこの風通しの良い職場づくりに必要な事は何かと言うと、やはりコミュニケーションの改善です。コミュニケーションを改善することによって、メンバーの相互理解を促進し、信頼関係を築くことが大切です。風通しの良い職場づくりのために、まずはコミュニケーションの改善に努めていただきたいと思います。当社では、「ダイアローグ」というコミュニケーションの手法を活用して、コミュニケーションの活性化や、チーム力強化に取り組んでいます。当社独自の「ビズパワーズのダイアローグ」は、多くの企業や労働組合などに研修の形でご紹介した結果、その効果を評価いただき、日々のミーティング方法としてご活用いただいています。日々のビジネスの現場で活用いただくことで、風通しの良い職場の実現に役立てていただいています。

ちなみに、上記「風通しの良い職場とは」の項目の内、私自身がその必要性を強く感じているのは、「関心を持つ」です。職場のメンバーに人としての関心を持たなければ、豊かな人間関係は生まれませんし、風通しの良い職場も実現しません。部下はモノではありません。まずは人として関心を持ち、尊重することから始めると良いと考えます。関心を持たないコミュニケーションでは、信頼関係は構築できません。まずは、メンバーを尊重し、関心を持ってみてください。